道立病院局所管審査
決算特別委員会において道立病院局所管部分の審査を行いました。
◎病院事業会計について
○太田憲之委員
それでは、病院事業会計について、通告に従い、順次質問させていただきたいと思います。道立病院が、今後とも、地域に求められる医療を提供していくためには、医療環境の変化に迅速かつ的確に対応しながら、医師を初めとする医療従事者などの確保や経営の効率化を図り、病院事業の経営改革を着実に進めていく必要があります。そのため、病院経営の自由度を高めることが不可避であるとの考えのもと、平成29年4月に、地方公営企業法の一部適用から全部適用に移行したものであり、平成29年度決算については、地方公営企業法の全部適用後の初めての決算となるわけでありますが、その状況や、北海道病院事業改革推進プランの取り組み状況などについて、以下、順次伺ってまいりたいと思います。初めに、平成29年度決算における病院事業の収益及び費用の状況と、その主な内訳、総収益から総費用を差し引いた損益はどのようになっているのか、お聞かせ願います。
○福原病院経営課長
収益及び費用の状況についてでございますが、平成29年度の病院事業収益は総額で約161億7800万円となり、このうち、入院及び外来収益等の医業収益が約78億300万円、他会計負担金などの医業外収益が約83億4800万円、過年度に請求した診療報酬の増額等に伴う特別利益が約2700万円となっております。また、病院事業費用につきましては総額で約166億3200万円となり、このうち、給与費や医薬材料費などの医業費用が約139億8300万円、企業債の支払い利息などの医業外費用が約25億7200万円、過年度に請求した診療報酬の減額等に伴う特別損失が約7700万円となっております。この結果、総収益から総費用を差し引いた最終の損益は、約4億5400万円の純損失となっているところでございます。
○太田憲之委員
平成28年度の損益は4億3000万円ほどの赤字ではなかったかと思いますが、依然として赤字経営であり、しかも、若干ではありますが、悪化しております。これはどのような要因によるものなのでしょうか、把握しているものがあれば、お聞かせ願います。
○福原病院経営課長
純損失が増加した要因についてでございますが、平成28年度と比較いたしまして、医療部門における患者数が、入院では1万4986人、外来では1万306人、それぞれ減少したことなどによりまして、医業収益が約8000万円減少したものの、子ども総合医療・療育センター、いわゆるコドモックルの療育部門における入所患者数の増加などにより、病院事業収益は約2億円増加したところでございます。一方、北見病院の指定管理者制度の導入に伴い退職者がふえたことによる給与費の増や、江差病院において電子カルテをリースに変更したことなど、病院事業費用が約2億2800万円増加したことにより、今年度の純損失は、前年度の約4億2600万円に比較し、約2800万円上回ったところでございます。
○太田憲之委員
ただいま、赤字の要因についてお伺いいたしましたが、収益を上げていくためには、何よりも患者の確保が必要であると考えます。直近3年間の入院患者数及び外来患者数の推移についてお聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
直近3年間の患者数の推移についてでございますけれども、まず、入院患者につきましては、平成27年度が17万8628人、28年度が15万8523人、29年度が14万5526人となっておりまして、3年間で、3万3102人、18.5%の減少となっているところでございます。また、外来患者数につきましては、平成27年度が25万3481人、28年度が24万8746人、29年度が23万8440人となっており、3年間で、1万5041人、5.9%の減少となっているところでございます。
○太田憲之委員
決算審査意見書によれば、北見病院やコドモックルなど、一部の病院では患者数が増加している年度も見られるところでありますが、全体では減少してきている状況となっております。年々、患者数が減少している要因についてお聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
患者数減少の要因についてでございますけれども、道立病院においても、それぞれの診療圏における人口減少は、患者確保に大きく影響があると考えてございます。また、江差病院において、平成28年度から外科の常勤医師が不在となり、29年度からは消化器内科の常勤医師が2名から1名に減少したこと、また、精神科医療を担う緑ヶ丘病院と向陽ヶ丘病院において、入院医療中心から地域生活中心へという国の方針を踏まえ、地域生活への移行を積極的に推進していることなどにより、患者数が減少しているものと考えているところでございます。
○太田憲之委員
昨年の決算特別委員会におきまして、我が会派の同僚議員から、患者の確保についてお伺いをしておりまして、周辺の医療機関との連携や、地域の医療ニーズに対応した患者受け入れ体制の整備、さらには、患者満足度調査を踏まえたサービスの向上などの取り組みにより、患者の確保に努める旨の御答弁をいただいておりますが、それらの対策によっても患者の減少に歯どめがかからない状況にございます。道立病院局としては、こうした状況をどのように受けとめ、どのように対応されようとしているのか、お聞かせ願います。
○叶野道立病院局次長
患者の確保についてでございますが、平成29年度において、医療機関相互の連携や、入退院の支援、調整を担う地域連携室を全病院に設置いたしまして、地域の医療機関や福祉サービス事業者への直接訪問などにより、患者受け入れの取り組みを進めるとともに、地域の企業などへ健康診断の実施を働きかけるなど、患者の確保に努めたところでありますが、患者の減少に歯止めがかかっていない状況にあり、病院経営上も、患者の確保は急務であると認識しているところでございます。このため、道立病院局といたしましては、これまでの取り組みに加えまして、主要な診療科の常勤医師の確保対策を一層強化するとともに、地元自治体や関係機関などの意向を踏まえ、地域の医療ニーズに的確に対応した診療体制づくりを行うなど、引き続き、患者の確保に全力で取り組んでまいる考えでございます。
○太田憲之委員
これまでもさまざまな対策を講じていることは重々承知しており、地域における人口減少や、医師、看護師の不足などにより、患者の確保が難しい状況にあるとは思うところでありますが、このような厳しい状況下におきましても、病院経営の観点から、患者数に見合った診療体制とするなど、必要な手だてを講ずる必要があると考えますが、今後、どのような対策を講じていく考えなのか、お聞かせを願います。○叶野道立病院局次長経営改善に向けた対応についてでございますが、病院経営におきましては、収益の確保はもとより、その収益に見合った費用の支出が重要と考えており、患者数に応じた病床数での運用や、それに伴う人員配置、LED照明の導入や新電力への移行による経費の縮減などに取り組んでいるところでございます。道立病院局といたしましては、今後とも、収益の確保と費用の縮減に一層努めますとともに、地域住民のニーズや医療需要の変化を的確に捉えた診療体制づくりを行うなどして、経営改善に取り組んでまいる考えでございます。
○太田憲之委員
先ほど、患者数の推移を伺いましたが、患者数が増減する背景には、地域における人口の影響はもとより、医療提供のキーマンとなる医師の充足状況などによる影響もあるのではないかと考えるところであります。昨年度の医師定数や配置数、欠員数について、病院別に状況をお聞かせ願います。○福原病院経営課長
病院別の医師の配置状況についてでございますが、平成30年3月末の状況で申し上げますと、江差病院については、定数の17名に対し、配置数は11名で6名の欠員、北見病院では、定数の6名に対し、配置数は5名で1名の欠員、羽幌病院では、定数の12名に対し、配置数は6名で6名の欠員、緑ヶ丘病院では、定数の9名に対し、配置数は9名で欠員はなし、向陽ヶ丘病院では、定数の6名に対し、配置数は5名で1名の欠員、コドモックルでは、定数の43名に対しまして、配置数は38名で5名の欠員となっており、6病院合計では、定数の93名に対しまして、74名の配置で19名の欠員となっているところでございます。なお、欠員が生じている診療科については、医育大学などへ非常勤医師の派遣を依頼して、可能な限り診療機能を確保できるよう努めているところでございます。
○太田憲之委員
医師の確保に関しましては、道内3医育大学への派遣要請のほか、民間人材紹介会社や医療関係団体を通じた招聘など、さまざまな取り組みを行っていると伺っておりますが、将来にわたって継続的に医師を確保していくためには、今年度から始まった新専門医制度への対応が重要であると考えます。専門医を目指す若い医師が、道立病院で経験を積み、そして地域医療に貢献できるよう体制を整備することが、本道の地域医療を守る上で不可欠であると考えますが、これまでの取り組み状況はどのようになっているのか、取り組みの成果とあわせてお聞かせ願います。
○福原病院経営課長
新専門医制度への対応状況についてでございますが、道立病院において、専門医を目指す専攻医を積極的に受け入れ、地域医療に携わる医師を育成することは、大変重要な役割と認識しており、医師確保にもつながるものと考えております。このため、羽幌病院とコドモックルにおいて、総合診療科専門研修プログラムや小児科専門研修プログラムを策定し、専攻医の募集を行っているほか、他の道立病院におきましても、医育大学などの専門研修機関施設の連携施設として位置づけされ、今年度は、コドモックルで2名、向陽ヶ丘病院で1名の専攻医を受け入れたところでございます。○太田憲之委員
人材を確保する上で、採用はもとより、職場環境の改善を図ることも重要であると考えます。本年7月に、いわゆる働き方改革関連法案が公布され、基本的には来年4月から施行されるところでありますが、医師につきましては、医師法に基づく応召義務が課せられているなどの特殊性を踏まえた対応が必要なことから、現在、国において、医師の勤務環境改善策などが検討されているところであります。道立病院では、医師事務作業補助者、いわゆる医療クラークを配置し、医師の負担軽減を図っているところでありますが、今後さらに、医師が業務に集中できる体制を整備するために、他職種への業務移管に積極的に取り組むなど、医師の処遇について適正に対処すべきと考えます。道としての見解をお聞かせ願います。
○福原病院経営課長
医師の負担軽減についてでございますが、医師の健康とワーク・ライフ・バランスを確保し、長期間勤務をしていただくとともに、良質な医療の提供と安全の向上を図るためには、医師の勤務環境を整えることが重要でありますことから、道立病院では、これまで、医師事務作業補助者の配置や、看護師による初診患者の事前問診を徹底するなど、タスクシフティングの取り組みを進めてきたところでございます。今後は、薬剤師による病棟薬剤管理指導を進め、入院患者に対する服薬指導などの業務を軽減するとともに、熟練した看護技術を提供する認定看護師などを育成し、医師業務のサポート体制の充実を図るなどして、医師の負担軽減に努めてまいります。
○太田憲之委員
先ほど、医師の配置状況を伺いましたが、患者にとって最も身近な存在である看護師につきましても、医師と同様、重要な存在であると考えます。ふだんから、患者の状態を注意深く観察し、異変をいち早く察知できる立場にあり、このような役割に支障を来すことがないよう、所要の人員を確保しておく必要があると考えます。看護師の定数や配置数、欠員の状況はどのようになっているのでしょうか、病院別に数字をお聞かせ願います。
○福原病院経営課長
看護師の配置状況などについてでございますが、平成30年3月末の状況で申し上げますと、江差病院では、定数の114名に対しまして、配置数は82名で32名の欠員、北見病院では、定数の71名に対し、配置数は65名で6名の欠員、羽幌病院では、定数の42名に対し、配置数は36名で6名の欠員、緑ヶ丘病院では、定数の79名に対し、配置数は76名で3名の欠員、向陽ヶ丘病院では、定数の57名に対し、配置数は56名で1名の欠員、コドモックルでは、定数の201名に対し、配置数は200名で1名の欠員となっており、6病院合計では、定数の564名に対しまして、515名の配置で49名の欠員となっているところでございます。
○太田憲之委員
看護師の確保につきましては、これまでも、採用年齢の引き上げや試験の実施回数の拡大などに取り組んできたことは重々承知しているところであります。昨年のこの委員会で、同僚議員が、いろいろと取り組んでも欠員が埋まらないのは、ほかの要因も考えられることから、多角的な観点からも検討し、欠員をなくす努力をするよう指摘しておりますが、その後、看護師の確保に対してどのように取り組まれてきたのか、お聞かせ願います。
○市橋修治副委員長
道立病院局次長立花理彦君。○立花道立病院局次長看護師の確保についてでございますが、平成29年度において、道内外の看護師養成校への訪問や採用試験の実施回数の拡大などの取り組みを進めた結果、昨年度末の看護師数は、一昨年度末の499名から16名増員し、515名になったところでございます。しかしながら、江差病院や羽幌病院において、いまだ多くの欠員が生じていることから、今年度から、新たな取り組みとして、ホームページをリニューアルするなど、インターネットを活用した情報発信を強化したところでございます。また、医師と同様に、若年層の看護師は、働きながら専門資格を取得できるなど、研修制度が充実した病院を選ぶ傾向が強いことを踏まえまして、道立病院局では、新人看護職員キャリアアッププランを策定し、採用から数年目までに、江差病院、羽幌病院における地域医療や、コドモックルの専門医療を幅広く経験した上で、希望する分野において専門資格を取得できる研修体系を整えたところであり、今後、こうした多様な取り組みにより、看護師の確保に一層努めてまいる考えでございます。
○太田憲之委員
平成29年度の決算状況や人材確保の状況について順次伺ってまいりました。道立病院局として、さまざまな対策を講ずるなどの努力をしていることは認められますが、結果としては、依然厳しい状況にあると言わざるを得ないところであります。道立病院が抱える、経営をめぐる環境変化への対応や医療従事者の確保などといった課題に対応するため、経営の自由度を高めることが不可避であるとの考えのもと、昨年4月からの地方公営企業法の全部適用に移行し、経営改善の加速化を図ってきたということでありますが、平成29年度を振り返って、全部適用による成果や課題などについて、道の見解をお聞かせ願います。
○市橋修治副委員長
道立病院部長田中宏之君。○田中道立病院部長地方公営企業法の全部適用の成果などについてでございますが、全部適用の導入により、独自に人材を採用することや、業務内容に応じた手当の創設などが可能となったことを受けまして、昨年度におきましては、地域の医療ニーズに応じ、職種間における定数の柔軟な見直しに加え、専門医を目指す専攻医の指導に当たる医師を確保するため、指導医手当を創設したほか、管理者みずからが、全ての病院に出向き、経営方針などについて説明したことによりまして、病院経営に対する職員の意識も変わりつつあると考えているところでございます。一方、医師や看護師に欠員が生じている状況において、処遇改善に向けたさらなる手当の創設や新たな職の設置につきましては、今後の検討課題であると考えておりまして、病院事業会計が厳しい状況ではございますが、全部適用のメリットを最大限生かした取り組みを一層進めてまいる考えでございます。
○太田憲之委員
わかりました。病院事業においては、平成29年度から32年度までの4年間を計画期間とする北海道病院事業改革推進プランを策定しておりますが、このプランの数値目標と平成29年度決算との比較はどのようになっているのか、お聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
北海道病院事業改革推進プランの数値目標と平成29年度決算との比較についてでございますけれども、コドモックルの療育部門を除く医療分において、収益は、プランの目標の約99億1000万円に対し、決算では約90億8000万円で、目標比で91.6%、費用は、プランの目標の約154億7000万円に対し、決算では約149億5000万円で、目標比で96.7%となったところで【決算特別委員会11月8日第3号】ございます。この結果、収支差は、プランの目標の約55億6000万円に対し、決算では約58億7000万円となったところでございます。
○太田憲之委員
このプランの進行管理の状況につきましては、外部有識者の方で構成する北海道病院事業推進委員会の点検評価を受けて、その内容が9月10日の保健福祉委員会で報告されているところでありますが、まず、平成29年度の取り組みに対する病院事業推進委員会の点検評価はどのようなものになっているのか、お聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
北海道病院事業推進委員会からの評価についてでございますけれども、事業全体の評価といたしましては、大きく3点が示されたところでございます。1点目として、収益増となった病院もある一方、医師の減少などによる入院患者数の減少などによって、前年度と比較して収支差が拡大している状況であることから、医療従事者の確保対策や経営の効率化などによる経営改善を着実に推進すること、2点目といたしまして、医師の負担軽減に向け、国における働き方改革の動向を注視しながら、具体的な処遇改善の方策について検討を進めること、3点目といたしまして、厳しい経営状況が続いていることから、持続可能な病院経営を実現するため、必要な見直しについて検討を進めることとされたところでございます。
○太田憲之委員
それでは次に、道立病院について順次伺ってまいりたいと思います。まず、江差病院につきましては、圏域内の将来的な医療需要や収支状況を見据えながら、病院の今後のあり方を検討することとされておりますが、今後、どのように取り組んでいくお考えなのか、お聞かせ願います。
○叶野道立病院局次長
江差病院の今後のあり方についてでございますが、江差病院が所在いたします南檜山医療圏では、医師を初めとする医療従事者の不足が深刻な状況にある中で、限られた医療資源を有効に活用する必要がありますことから、これまでも、医療機器の共同利用やICTによる患者情報の共有化を進めるとともに、昨年6月から、町立病院の事務長などで構成いたします意見交換会を開催し、各病院が抱える課題などについて、情報交換を行ってきたところでございます。今後、道立病院局といたしましては、地域医療構想調整会議などの場におきまして、江差病院と地元自治体、周辺医療機関などとのさらなる連携を図るための方策について議論を重ねまして、南檜山圏域における安定的な医療提供体制の確保に努めてまいる考えでございます。
○太田憲之委員
次に、羽幌病院についてお伺いをいたします。新専門医制度を見据えて、総合診療医を確保するために、専門研修プログラムを策定し、受け入れ体制の整備を図っているところであります。これまでのところ、医師の受け入れに結びついてはいないとのことでありますが、その点を踏まえて、今後、どのような方法でアプローチをしていく考えなのか、また、今後の見通しについてもあわせてお聞かせ願います。
○福原病院経営課長
羽幌病院についてでございますが、改革推進プランに基づき、総合診療医や地域医療を志す医師の育成機能の体制を強化するため、本年4月より、総合診療の指導医資格を有する病院長を招聘するとともに、医育大学等と連携をして、初期臨床研修医の地域研修や医学生の臨床実習を積極的に受け入れてきたところであり、このたび、来年度の専攻医として1名の応募があったところでございます。今後は、在宅医療や遠隔診療など、多様な研修フィールドを提供できるよう、連携施設を拡大し、より魅力的な研修となるよう、プログラムの充実を図りますとともに、こうした取り組みについて、インターネットや情報誌等を活用して全国に発信し、研修医に選ばれる病院づくりを目指してまいる考えでございます。
○太田憲之委員
それでは次に、緑ヶ丘病院についてお伺いいたします。緑ヶ丘病院の病床利用率は、精神科救急病棟はほぼ目標どおりでありますが、ほかの病棟につきましては、地域生活への移行を推進していることもあり、低迷しているとの評価になっております。今後、地域の医療需要を的確に把握し、地域から求められる病院機能の発揮と適正な病床規模の検討を行うべき旨の意見が付されているところでありますが、それに対し、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○叶野道立病院局次長
緑ヶ丘病院における今後の取り組みについてでございますが、緑ヶ丘病院では、入院医療中心から地域生活中心へという国の方針を踏まえまして、地域生活への移行を積極的に推進していることに加えまして、平成27年3月から、スーパー救急病棟の運用を開始し、集中的な治療を行うことにより、在院日数を短縮したことなどから、入院延べ患者数が減少傾向となったところでございます。こうした中、道立病院局では、スーパー救急病棟の運用開始から3年が経過したことも踏まえまして、改めて、圏域の医療機関や自治体などから、病院機能に関する御意見を伺ったところでございまして、今後は、寄せられた御意見や近年の患者動向などを踏まえ、緑ヶ丘病院が、引き続き、十勝圏における精神科救急医療の拠点としての役割を担っていけるよう、適正な病院体制について検討してまいる考えでございます。
○太田憲之委員
次に、向陽ヶ丘病院についてお伺いをいたします。向陽ヶ丘病院につきましては、平成28年6月の新病院への移転を契機に、保護室の増室や身体合併症室の新設といったことで機能が付加されたことから、新たな設備機能を十分活用できる診療に努めるよう、昨年のこの委員会でも指摘されていたと思いますが、その後も、入院患者を中心に、患者数の減少に歯どめがかかっていない状況であります。病院事業推進委員会からも同様の意見が付されていたところでありますが、患者数の減少の要因と今後の取り組みについてお聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
向陽ヶ丘病院における患者数減少の要因などについてでございますけれども、病院が所在する北網圏域の人口が減少していることに加え、緑ヶ丘病院と同様に、地域生活への移行を積極的に推進していることなどが背景にあると考えているところでございます。このため、向陽ヶ丘病院では、本年4月から、地域連携室の体制を強化し、関係機関とのさらなる連携を図るとともに、出前講座や地域のイベントへの参加などにより、認知症疾患医療センターで実施している物忘れ外来のPRを積極的に行うほか、本年8月からは、合併症患者への対応を強化するため、非常勤内科医を配置するなどの取り組みを進めているところであり、引き続き、患者の確保に向けて努めてまいる所存でございます。
○太田憲之委員
それでは次に、北見病院についてお伺いをいたします。北見病院では、本年4月から指定管理者制度を導入し、オホーツク圏域における高度・専門医療の提供体制の安定的な確保を図るため、日本赤十字社を指定管理者に選定し、道立北見病院と北見赤十字病院との一体的な運営を行ってきているところであります。既に7カ月余りが経過しておりますが、指定管理者制度導入後の道立北見病院の運営状況や地元の方々からの評価についてお聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
北見病院の運営状況などについてでございますけれども、指定管理者制度導入後の平成30年度上半期においては、入院患者数は6695人で、前年同期比で1.2%の減、外来患者数は8571人で、1.7%の増となっており、おおむね前年と同様の状況で推移しているところでございます。指定管理者制度の導入により、両病院間で、より迅速に患者対応ができる体制が整ったことから、北見赤十字病院で診察した患者を北見病院のほうで緊急手術することにより救命が図られたケースがあったほか、この10月から、北見赤十字病院との連携により、心疾患患者の術後リハビリテーションを開始したところであり、入院患者からも、手術した病院でリハビリも受けられてよかったとの声が聞かれるなど、一定の評価をいただいているところでございます。道立病院局といたしましては、今後も引き続き、北見赤十字病院と連携を図りながら、オホーツク第3次医療圏における高度・専門医療の提供体制の充実に向けて取り組んでまいります。
○太田憲之委員
次に、コドモックルについてお伺いいたします。子ども総合医療・療育センター、通称・コドモックルにつきましては、入院患者の増加などにより、医業収益が前年度と比較して約5200万円増加しており、病院事業推進委員会からも評価をされておりますが、今後の医療提供体制のさらなる充実などが求められているところであります。今後、コドモックルの体制整備等の強化に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○齋藤経営改革課長
コドモックルにおける今後の取り組みについてでございますけれども、全道的に少子化が進行する一方、医学の進歩を背景といたしまして、医療的ケアを要するお子さんが増加傾向にあり、ここ数年、コドモックルで治療を要する重症患者を受け入れるベッドや、新生児病棟のNICUが、常時、満床状態になっていることから、重症患者を円滑に受け入れるための体制整備が課題となっているところでございます。このため、道立病院局では、一般病棟における重症患者の受け入れの拡大に向け、看護師の増員を図るとともに、新生児病棟については、現在実施している施設整備面での調査結果を踏まえ、その機能の強化に向けた検討を進めるほか、入院患者の在宅移行を円滑に実施するため、在宅支援体制の強化について検討しているところであり、小児高度・専門医療の提供体制がより充実したものとなるよう取り組んでまいります。
○太田憲之委員
平成29年度の道立病院全体や各病院の取り組みに対する点検と評価、その対応について順次伺ってまいりましたが、プランの計画期間の初年度とはいえ、計画達成に向けて非常に厳しい状況となっているところであります。今後、これまで以上の取り組みが求められることとなりますが、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○田中道立病院部長
改革推進プランの目標達成に向けた取り組みについてでありますが、平成29年度は、地方公営企業法の全部適用を受け、職種間の定数の柔軟な運用や、新たに策定した経営方針を通して、職員の意識改革を進めたほか、北見病院への指定管理者制度の導入に取り組むなど、一定の成果を上げることはできたものと考えておりますが、プランの計画期間の初年度の決算におきまして、目標よりも収支差が拡大する結果となったことにつきましては、厳しく受けとめなければならないものと考えているところでございます。このため、道立病院局といたしましては、医育大学、医療関係団体への医師派遣要請や、採用試験の実施拡大などによる医療従事者の確保はもとより、各病院に設置した地域連携室による、医療機関などとの患者紹介の働きかけや患者受け入れの取り組み、患者満足度調査の結果を踏まえた、患者の利便性を向上させる対策などをさらに強化することによりまして、収益の確保に一層努め、プランに掲げた目標の達成に向けて、全力で取り組んでまいります。
○太田憲之委員
それでは次に、災害対応についてお聞きしていきたいと思います。9月6日未明に発生いたしました胆振東部地震における全般的な道の取り組みなどについて、第3回定例会で議論を進めてきたところでありますが、改めて、道立病院の対応などについて、以下、何点か伺っていきたいと思います。近年、国内で、自然災害が頻発しており、災害の規模や被害も甚大化していることから、防災対策がますます重要になっていると考えますが、道立病院では、災害等への備えとして、これまで、どのような取り組みを行ってきたのか、お聞かせ願います。
○福原病院経営課長
道立病院での災害等への備えについてでございますが、道立病院では、災害発生時においては、患者の安全を最優先に確保することとしており、停電時への備えといたしまして、全ての病院に自家発電装置を設置し、医療機器等の使用に支障が生じないようにしているところでございます。また、病院の機能や地域事情に応じ、災害発生時の対応、職員の招集、院内の医療体制などを定めた防災マニュアルを策定するとともに、マニュアルに基づいた訓練を行うなど、防災意識の醸成に努めてきたところでございます。さらに、平成28年の道内の大雨災害や熊本地震の発生に伴い、29年3月には、全ての病院におきまして、継続的に診療を行うための業務継続計画、いわゆるBCPを策定いたしまして、災害発生時における医療提供体制の確保に努めてきたところでございます。
○太田憲之委員
それでは次に、今回の震災対応として、道の各部では、それぞれの役割に応じて被災地域への支援を行ってきているところでありますが、道立病院としてはどのような対応を行ってきたのか、お聞かせ願います。○福原病院経営課長道立病院としての対応についてでございますが、北海道地域防災計画では、道立病院は、災害発生時において、災害対策本部からの要請に基づき、医療救護及び医療資機材の確保と供給を担うこととされているところでございます。このたびの胆振東部地震では、避難者などに対する精神保健活動として、緑ヶ丘病院から、災害派遣精神医療チーム、いわゆるDPATを、向陽ヶ丘病院から心のケアチームを、それぞれ1週間程度、現地に派遣したところでございます。また、コドモックルから医師などの職員を派遣し、心理的に不安定になったお子さんや保護者の方への面談、相談対応のほか、自治体の職員、福祉施設関係者に対しまして、子どもの心のケアに関する助言などを行ったところでございます。○太田憲之委員大規模災害が毎年のように本道を襲っておりまして、道民の日常生活はもとより、さまざまな産業や経済活動に深刻な影響が生じているところであります。災害は、いつ、どこで起こるか、予想が非常に難しく、日ごろから、それに対応できるような体制を整備しておく必要があると考えます。道立病院では、こうした災害に対する備えについて、今後、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○田中道立病院部長
災害対応に関する今後の取り組みについてでございますが、道立病院では、災害発生時におきましては、患者の安全を何より優先する必要があることから、自家発電装置の設置やマニュアルの策定による備えなど、災害発生時への対応に万全を期してきたところでございます。しかしながら、このたびの災害では、自家発電に必要な重油の継続的な確保のほか、物流障害が発生した場合においては、患者のみならず、病院職員も含めた、水、食料等の確保に課題があることなどが明らかになったところでございます。このため、道立病院局といたしましては、これらの課題に加え、冬期間における対応も想定し、防災マニュアルやBCPの検証、見直しの作業を進めるとともに、実践的な訓練などによる職員の防災意識の向上や、関係機関などとのさらなる連携を図り、災害時における適切な医療の提供体制を確保していく考えでございます。
○太田憲之委員
ここまで、病院事業会計における平成29年度の決算状況や、医師、看護師の人材確保、病院事業改革推進プランへの取り組み、災害対応などについて伺ってまいりましたが、道立病院は、厳しい経営環境のもとで、僻地での地域医療を担う重要な役割を負っており、医療従事者や患者の確保などに苦労しながら病院を運営していることと思います。このような中でも、公営企業として、経済性や効率性を確保しながら運営していくことが求められており、現行の病院事業改革推進プランは、国のガイドラインに基づいて策定され、プラン最終年度の平成32年度には黒字に転換する計画となっているところであります。道立病院の経営改革に向けて、道立病院局は、今後、どのように取り組んでいくお考えなのか、最後にお伺いをいたします。
○鈴木病院事業管理者
今後の取り組みについてでありますが、私は、昨年4月に病院事業管理者に就任して以来、道立病院は、公立病院として、公共性の確保と、公営企業としての経済性の発揮に努めながら、民間の医療機関が参入しにくい地域での広域的な医療や精神・特殊医療、高度・専門医療など、地域に必要な医療を提供する使命を帯びていることを常に心にとめながら、病院事業の経営に取り組んできたところであります。一方、人口減少による患者数の減少や、医師を初めとする医療従事者の確保の困難さなどにより、道立病院を取り巻く環境はますます厳しさを増していると感じているところでもあります。このため、私としては、こうした諸情勢の大きな変化への対応や困難な課題の解決に向けては、的確な経営判断とスピード感を持った取り組みが必要と考えており、プランに掲げる目標をしっかりと念頭に置きながら、道立病院局の持てる力を結集し、経営改革に向けて、職員が一丸となって取り組んでまいります。
○太田憲之委員
終わります。