平成27年第3回定例会
第3回定例会議一般質問にて下記の項目について質問させてしいただきました。
1.新千歳空港24時間運用について
2.アライグマ対策等について
3.防災対策について
4.子育て支援施策について
道議太田憲之
まず初めに、新千歳空港の24時間運用についてお伺いいたします。
新千歳空港における深夜・早朝時間帯の発着枠につきましては、8月22日に開催されました千歳市地域協議会におきまして、地域住民から、現行の6枠から30枠への拡大について合意が得られまして、3月の苫小牧側における合意とあわせまして、枠拡大が実現することとなりました。
地域協議会におきましては、住民から、新千歳空港と共存する地域及び北海道経済の発展のために、地域の苦渋の決断として枠拡大を認めるといった発言があったところであり、こうした地元の理解や協力を得て拡大した発着枠については、早期に活用を図り、道内経済の活性化につなげていくことが重要であると考えるところであります。
今議会の我が会派の代表質問において、知事は、枠拡大の効果が最大限に発揮され、新千歳空港が北の国際拠点空港として発展していくことができるよう、早期就航に向けて、2次交通の拡充によるアクセス向上などに取り組む旨の答弁をされましたが、その具体的な内容について、以下、知事にお伺いをいたします。
まず初めに、枠拡大に伴う地域経済の発展についてお伺いいたします。
知事は、今回の発着枠拡大の協議に当たり、本道経済の発展のために、地域の理解と協力を求めてきたところであります。
このたびの枠拡大により、北海道全体で261億円の経済効果が発生すると試算しておりますが、具体的にどのような内容で経済効果が発生するのか、また、周辺地域への経済効果や雇用創出効果はどの程度と推計されているのか、お伺いをいたします。
次に、2次交通への対応についてお伺いいたします。 航空会社によります深夜・早朝時間帯の発着枠の活用に当たっては、空港ビルやテナントの営業時間の延長のほか、深夜・早朝時間帯におけるCIQや除雪への対応といった、空港の受け入れ体制の整備など、さまざまな課題があるものと承知をしているところであります。
中でも、利用客の利便性に直接かかわる2次交通への対応について、道は、航空会社の具体的な運航意向や利用状況の把握に努め、交通事業者との情報共有を進めていくとのことでありますが、具体的にどのように進めていくおつもりなのか、道としての考えをお聞かせ願います。
続きまして、2点目に、アライグマ対策等についてお伺いいたします。
アライグマにつきましては、昭和50年代から、道内での定着が危惧されておりましたが、平成4年には、北大が実施した調査で、13市町村に生息していることが確認されたところであります。それから20年以上が経過し、道内での分布は広範囲に拡大し、それに伴い、農業被害等も拡大してきたところであります。
アライグマは、もともと本道には生息していなかった外来種であり、数字としてあらわすことのできる農業被害はもとより、本道にもともと生息しております野生動植物への影響も懸念されていることから、道内での根絶を目指して、早急に生息数を減少させていくことが重要であると考えるところであります。
アライグマは、エゾシカと同様、市町村の境に関係なく移動するものであり、市町村が単独で対策を講じていくには限界があると考えるところでありまして、これに対して、広域的な取り組みが必要であると考えるところであります。
また、この間、北海道議会で、我が会派から、効果的な手法の一つとしまして、アライグマの生態をきちんと理解し、妊娠、出産、そして子育ての時期に当たります4月から6月に市町村が一斉に集中して捕獲を行う手法を提案してきたところであり、道としましても、本年度から、この時期をアライグマ春期捕獲推進期間と定め、全道一丸となった捕獲に取り組む考えを示してきたところであります。
この取り組みに関します実施状況とその効果について伺いますとともに、このように効果が期待できる広域的な対策について、今後、どのように取り組んでいくお考えなのか、お聞かせ願います。 続きまして、3点目に、防災対策についてお伺いいたします。
まず初めに、耐震診断の実施に向けた対応についてお伺いいたします。
平成25年11月に施行された改正耐震改修促進法によって、一定規模以上のホテルや旅館、商業施設などの大規模建築物につきましては、本年12月までに耐震診断を終えることとなっており、本年6月末日現在、札幌市を除き、98棟ある民間建築物のうち、診断に着手していない建設物が21棟も残っていると伺っております。
道では、我が会派からの指摘を受け、昨年4月から、耐震診断への補助制度を設けているところでありますが、いまだに耐震診断に着手していない建築物があり、診断結果の報告期限を間近に控え、道として、どのような対応をしていくのか、お伺いいたします。
また、耐震診断には、通常、3カ月から5カ月程度の期間を要すると聞いております。この期間を考慮いたしますと、報告期限までに間に合わない可能性がある建築物もあるのではと考えるところでありますが、道として、このような建物に対して、どのような対応をしていくのか、あわせてお聞かせ願います。
次に、緊急輸送道路等の指定についてお伺いいたします。
防災上重要な緊急輸送道路などが、建物倒壊等で通行不能になることがないよう、改正耐震改修促進法では、地方公共団体がこのような道路を指定し、沿道の古い建築物の所有者には耐震診断を義務づけることができるようになりましたが、この道路指定について、現在の道の考えをお聞かせ願います。
続きまして、3点目に、避難所における環境整備についてお伺いいたします。
災害が発生した場合に、住民の生命、身体を保護するため、避難所の整備は重要であると考えます。
しかしながら、避難所の多くは、小中学校を初めとする公共施設であり、それらの施設については、必ずしも収容避難を目的として設置されていないために、実際に大規模な災害が発生した場合に、避難所としての機能が適切に発揮されるかどうか、心配が残るところであります。
大規模な災害が起きた場合、停電の発生が見込まれ、それに備えた非常用発電機の配備や、被災者に食事等を提供するための設備が必要であると考えます。それに対する備えは万全であるのでしょうか。 特に、電気やガスなどのインフラ施設につきましては、リスク分散も考慮した配備が必要であると考えます。
例えば、私が住む千歳市は、都市ガスの供給地域でありますが、千歳市民病院では、地震等の災害時にライフラインが断たれましても、都市ガスから切りかえて給湯ができるLPガスシステムを導入しております。 避難所は、市町村においてその施設を指定することとなっておりますが、道として、まず、避難所における非常用電源や暖房設備などの整備状況などについて把握されているのかをお伺いいたします。
また、大規模災害時に備え、灯油やガスなどライフラインの供給状況についても把握しておく必要があると考えますが、その点についての御見解をお伺いいたします。
続きまして、子育て支援施策についてお伺いをいたします。
全国に比べて少子化が進行する本道におきましては、少子化の改善に向けて取り組んでいかなければならないのは当然のことであり、道としましても、そうした認識のもと、第3期子ども未来づくり計画を策定し、総合的かつ効果的な少子化対策を推進することとしているところであります。 合計特殊出生率を上げていくためには、第3期計画の中で新たに掲げた、結婚の希望がかなうための支援や周産期医療体制の充実などはもちろん、地域で安心して子育てができる環境づくりなども重要であると考えるところであります。
道では、平成20年度から、子育て世帯が特典を受けられる、どさんこ・子育て特典制度を実施しているところでありますが、この取り組みについて、何点かお伺いいたします。 まず初めに、どさんこ・子育て特典制度の目的についてお伺いいたします。
どさんこ・子育て特典制度は、妊婦や小学生までの子どもがいる世帯を対象として、子育て世帯が、買い物、施設利用の際に割引やサービスなどの特典を受けられるもので、道と市町村、協賛する店舗、施設等が協働して取り組むものでありますが、この制度の目的はどのようなものであるか、まず初めにお伺いをいたします。
続きまして、実施状況や課題についてお伺いをいたします。
この事業が開始されてから7年が経過しているところでありますが、この制度に取り組まれている市町村数や協賛店舗数はどの程度あるのでしょうか。
また、協賛店舗の中には、利用者が少なく、制度が活用されているという実感がないなどとの声や、周りの子育て世帯からは、制度自体を知らなかったという声も聞いているところであります。
制度を普及するためには、市町村、企業や商店などの理解、協力はもとより、対象世帯への周知が必要不可欠であると考えますが、現状における課題としてはどのようなものがあると考えているのか、お伺いをいたします。
続きまして、今後の取り組みについてお伺いいたします。 このような、市町村や企業などと連携して子育て世帯を支援する取り組みは、大変に望ましいものであり、子育て世帯にとっての利用のしやすさや、協賛する企業のメリットなど、さらに制度の充実を図りながら、全道への広がりを推進することが必要ではないかと私は考えるところであります。
道として、今後、どのようにこの制度に取り組んでいこうと考えているのか、御所見をお伺いいたします。
知事高橋はるみ
最初に、防災上重要な道路の指定についてでありますが、耐震改修促進法の改正によりまして、地方公共団体が、緊急輸送道路など、防災上重要な道路として指定した道路の通行が、倒壊により妨げられるおそれがある沿道の建築物の耐震診断が義務化されたところであります。
道では、この法改正を受けて、これまで、札幌市を除き、道内で都市計画区域を指定している98の市と町について、北方建築総合研究所を通じて、緊急輸送道路の沿道の建築物を調査してきたところであります。
道といたしましては、引き続き、残る80の町と村の緊急輸送道路の調査を早急に実施するとともに、避難路等についても調査を行った上で、耐震改修促進法に基づく、防災上重要な道路の指定について、市町村と協議してまいる考えであります。 なお、新千歳空港の発着枠拡大に伴う経済効果の試算などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
次に、子育て支援施策に関し、どさんこ・子育て特典制度についてでありますが、道といたしましては、この制度が、多くの協賛企業に参加をしていただき、子育て世帯が利用しやすいものとなるよう、制度の充実や周知を図りながら、全道各地への広がりを一層促進していく必要があると考えているところであります。
一方、国においては、ほとんどの都道府県で類似の事業が実施されている現状を踏まえ、全国共通の事業展開についての検討が進められていると承知をいたします。
道といたしましては、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを進める中で、この制度は意義のあるものと考えているところであり、今後は、地方創生の取り組みの中でもしっかりとPRに努めながら、各種の子育て支援施策と一体的な展開を図り、社会全体で子育て世帯を応援していく環境の整備に積極的に取り組んでまいる考えであります。 なお、特典制度の取り組み状況などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
総合政策部交通企画監渡邊直樹
新千歳空港の24時間運用に関し、発着枠拡大に伴う経済効果についてでございますが、平成22年に道と経済団体が共同で実施した経済波及効果調査をもとに、道が30便の効果を試算したところ、道外からの旅客需要拡大に伴う消費経済効果が、年間所得額ベースで93億円、航空輸送事業者の生産活動の増加による経済効果が75億円、農水産物等、多様な航空貨物の利用による経済効果が93億円となり、北海道全体といたしましては年間で261億円、雇用効果としては、3915人の増加を見込んでおります。
また、空港周辺地域におきましては、千歳市における経済効果が約56億円、雇用効果が605人、苫小牧市における経済効果が約20億円、雇用効果が224人と試算をしているところでございます。
次に、2次交通についてでございますが、深夜・早朝時間帯における就航に向けては、空港ビルやグランドハンドリングなど、受け入れ体制の整備のほか、2次交通への対応が重要な課題であります。
道といたしましては、現在、国内外の航空会社に、今後3年以内の具体的な運航意向を改めて確認しており、こうした意向や深夜・早朝便の利用状況を踏まえ、国や道、航空会社などで構成する、国際航空便の受入円滑化に向けた検討会の場を活用するなどして、交通事業者を含めた関係者との情報共有を一層進めるとともに、交通手段の確保に向けた必要な働きかけを行い、利用者のニーズに応える2次交通の拡充を図ってまいる考えでございます。
環境生活部長宮川秀明
アライグマ対策についてでありますが、道では、本年度から、4月から6月までの間を捕獲推進期間と位置づけ、市町村に対し、この時期に集中して捕獲するよう働きかけたところ、98市町村で約2800頭が捕獲されており、昨年の同じ時期の捕獲数の1.5倍となっております。
この時期の一斉捕獲は一定程度効果があったものと考えられることから、来年度以降も引き続き実施することとし、また、道といたしましては、振興局ごとに設置した野生鳥獣の対策会議などを活用して、生息状況などの情報の共有や捕獲技術の普及を図るとともに、複数の市町村による連携した捕獲対策を促進し、より一層、農業被害の軽減や在来種への影響の回避に努めてまいりたいと考えております。
建設部建築企画監宮内孝
防災対策に関し、耐震診断に対する取り組みについてでありますが、道では、平成25年11月の改正耐震改修促進法の施行により、大規模建築物の耐震診断が義務化されましたことから、耐震診断に対する補助制度の創設や融資制度の拡充を図ったところでございます。
道といたしましては、耐震診断の早期実施に向け、これまでも、これらの制度に関する説明会を開催したほか、個別に診断の実施を要請するなどして、8月末時点で、98棟の対象建築物のうち、79棟が実施しているところでございます。
このため、引き続き、市町村と連携を図りながら、制度の活用を促すなど、本年12月末の報告期限までに耐震診断が実施されますよう、建築物の所有者に働きかけてまいる考えであります。
また、期限までに診断結果の報告がない場合につきましては、まずは、建築物の所有者に対し、改めて、早期に耐震診断を実施していただきますよう要請してまいる考えでございます。
総務部危機管理監佐藤嘉大
防災対策に関し、避難所における環境整備についてでありますが、東日本大震災を初め、多発する大雨災害の教訓を踏まえますと、被災者が一定期間生活する避難所の環境を適切なものとすることは重要な課題と考えます。
特に、積雪寒冷地である本道においては、避難所の機能維持のため、暖房設備や非常用電源などが重要であります。
このため、道では、各市町村の避難所の暖房設備や非常用電源、給食設備などの整備状況を把握するとともに、市町村において、計画的に、必要な資機材や生活物資などの整備が図られるよう、支援を行ってきているところであります。 道といたしましては、今後とも、こうした資機材の整備や、ガスなどの燃料供給が途絶された場合の備蓄の状況等についても定期的に把握するなどし、引き続き、市町村と密接に連携をしながら、避難所機能の充実に努めてまいります。
保健福祉部少子高齢化対策監内海敏江
子育て支援施策に関し、まず、どさんこ・子育て特典制度の目的についてでございますが、道といたしましては、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを進めるためには、市町村や民間事業所など、さまざまな方々が力を合わせて、地域全体で子育て世帯を応援する機運を醸成していくことが重要と考えております。
こうしたことから、道におきましては、妊娠中の方もしくは小学生までのお子さんがいる世帯に対し、協賛店舗や施設の皆様が割引サービスを提供することで、子育て世帯を応援していく気持ちを伝えることを目的に、市町村、商工団体、企業等の御理解や御協力をいただきながら、どさんこ・子育て特典制度の普及を図ってきたところでございます。
次に、どさんこ・子育て特典制度の実施状況などについてでございますが、平成20年度の制度創設時には25市町村でスタートし、昨年度末では53市町村で導入されているほか、協賛店の数は、全道域で利用可能なものが268カ所、制度を導入している市町村内限定の店舗が1363カ所となっているところでございます。
道では、現在、本制度の充実に向けた見直しを行っており、本年4月の、市町村や協賛店を対象としたアンケート調査などでは、居住する市町村が制度を導入していないと利用できない、子育て世帯の中には制度自体を知らない方も多い、協賛企業等のメリットが少ないなどの御意見を伺っておりまして、道内の全ての子育て世帯が利用可能な仕組みとすること、制度の普及啓発や周知方法、協賛店舗の拡大などが課題であると考えております。